今回は、FP資格取得を考えている方向けに、FP資格の登竜門ともいえる「FP3級」について、その特徴やおすすめの勉強法について解説していきたいと思います。
FP3級について
FP資格の中でも、いわゆる“初級”の位置づけになるのが3級となります。
まずは、FP3級の試験範囲やレベルについて説明します。
試験範囲
試験範囲は大きく下記の分野となります。
・ライフプランニング
・金融資産運用
・不動産運用
・リスクと保険
・タックスプランニング
・相続・事業承継
試験分野としては、FP1級~3級まで共通となっていて、かなり広い分野の勉強が必要です。
1級~3級の違いは、各分野における内容・理解度の”深さ”だとイメージしてください。
ということで、これまでの人生で関わったことがなかったり、今後の人生でもおそらく関わることがないであろう分野もそこそこ出てきます。

例えば、投資をやっていなければ”金融資産運用”の分野はあまりピンとこないと思いますし、よほどのお金持ちでない限り”相続・事業承継”分野には関わることはない、ということです。
FP資格を取得することは自分自身の人生にも役に立ちますが、さまざまな状況に置かれている人に対する「人生における”お金”に関するアドバイス・サポート」をするのがFPの本来の役割であることを考えると、自身の人生の中で関わりのない分野であってもしっかり知識を持つことが必要だと理解しておくことが大切です。
試験のレベル
FP3級の合格率は80%程度となっています。
これは
「ちゃんと勉強すれば余裕をもって合格できるレベル」
ということが出来ると思います。
勉強する時間がどれくらい確保できるかにもよりますが、試験の申込をしてから、試験日までの1~2か月ほど勉強すれば期間としては十分だと思います。
勉強の進め方
基本的に市販のテキストを購入して、テキストに沿って勉強を進めればよいと思います。
参考書によっては、6つの分野のうち”得意分野”から勉強するのがいい、と書かれているものもありますが、今後上級を目指す場合や試験で出題される順番などを考えると、個人的な意見としては、テキストの順番通りに勉強を進める方が無難だと感じています。
FP3級のテキストはたくさん販売されていますし、どのテキストでもわかりやすく解説されているので、本屋さんなどで立ち読みをしながら「自分に合ってる」と感じたものを選んでください。
FP3級試験の勉強については、web等の多くのサイトで解説されていて、
「過去問をやれば十分合格できる」
という解説もされています。
“合格する”ことだけが目的であれば過去問だけも十分ですが、それは個人的には全くお勧めしない勉強法です。
その理由をお伝えしたいと思います。
出題される問題は、いわゆる
・文章の正誤を判断する問題
・ひっかけ問題
が多く、過去問で出てきたものが繰り返し出題されていることも多いため、過去問を繰り返しやっておけば十分な対策につながります。
しかし、FP3級を受験しようとしている方は、きっとこの資格を取得することで「人々の役に立ちたい」と思っている方が多いはずです。
ただ、過去問の勉強のみによる”試験対策”でFP3級に合格したとしても、まだまだ人の役に立てるレベルのスキルは身についていないと考えた方がいいと思います。
例えば、あるサラリーマンの所得が給与所得だけの場合の税金の計算方法については、FP3級のレベルでもアドバイスできると思いますが、
・株で大きく損が出た場合
・競馬で大きく利益を得た場合
などが重なると、アドバイスも困難になってくると思います。

FPに相談が必要となるタイミングは、人生における転機(結婚・出産・住宅購入など)やイレギュラーな場合であることを考えると、ある程度記憶すれば合格できてしまうFP3級では、アドバイスするスキルとして不足しているということです。
言い変えると、FP2級以上の資格を取得しなければ、各分野で学ぶことの関連性の知識を得ることができず、アドバイスのできるスキルには達しないとも言えます。
そういう意味で、FP3級を勉強する時点でその本質をしっかり理解することを心がけて、FP2級の勉強に進んでいただきたい、というのが私のおすすめする”先を見据えた勉強方法”です。

FP3級の資格取得が、FP2級資格を取得するためのステップの一つだと考えていただくとイメージできるかと思います。
【具体例】勉強する上で意識してほしいこと
では、「FP2級を目指すためのFP3級の勉強」をしようとした場合、どのようなことに意識して勉強をする必要があるのでしょうか。
その点について、具体例により解説していきたいと思います。
例えば、タックス分野における「配当所得」の課税方法については、テキストなどに
・原則として源泉分離課税である
・申告不要とすることができる
・申告分離課税を選択することができる
という3つの方法が解説されています。
FP3級合格者の中でも、ここの理解が出来ている人は少ないのではないでしょうか。
私自身も、サラリーマンとしてそれまで関わったことがない単語が羅列されていたこともあり、この部分を理解するのに苦労しました。
※この部分の解説については、今回の記事では行いませんのでご了承ください

正直、FP3級受験時は単語だけなんとなく覚えて、理解できていなかったと思います。
FP2級を目指すのであれば、このような「なんだかよくわからない」部分を記憶に頼るのではなく、FP3級を受験するタイミングである程度理解しておく方が、長い目でみるとステップアップにつながります。

FP2級になると、新たな「よくわからない」ことが新たに出てきます。
さらに、記憶に頼らず理解することで「暗記の必要がなくなる」ことも多いです。
今回例で示した「配当所得の課税方法」もその内容を理解することで、暗記の必要がなくなる内容の一つです。
「じゃあ、わからない部分をどうやって理解を深めればいいの?」という質問につながるかと思います。
市販のテキストもわかりやすく書かれていますが、それでも理解できない場合にはYouTubeやWebを検索してみてください。
FP試験分野の解説は無料で数多く公開されているので、きっと皆さんの理解を深める手助けになると思います。

特に、FPの基礎知識に関するYouTubeがおすすめです。よくわからない内容であれば、目で見るより耳で聞く方が頭に入ってきやすい感じがします。
さいごに
今回は、FP資格取得を考えている方向けに、“FP3級”の特徴や資格取得に向けたおすすめの勉強法を解説しました。
単なる「資格取得」にとどまらず「本質を理解することを意識した勉強」によりステップアップし、数多くの方に貢献できるFPを目指していただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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